治療の方針と目標

私は『病気を起こしにくい体を取り戻すという治療』を目指しています。もともと人には治癒力が備わっています。 悪循環に陥っているときだけ、医療者に関わり、その後は上手に体をメインテナンスすることで上手に暮らしていく。 そういったことをお手伝いしようと思っています。

頭痛外来

頭痛外来/内科:秋葉原駅クリニック 院長の著書
頭痛<新版> / 大和田潔(著)
新水社刊¥1500円(税込)

頭痛はよく自覚する病気です。二日酔いや、カゼの時に頭は痛くなります。そういったときには、市販の痛み止めでガマンすることもあるでしょう。でも、繰り返し起きてくるひどい頭痛は痛み止めではよくならないかもしれません。かえって吐き気が出てしまうこともあるでしょう。

あるいは、疲れた時や、生理の前後などに頭痛が酷くなる事もあるかもしれません。こういった頭痛は日常生活を脅かす事があり、頭痛自体に恐怖心をもたれている方も少なくありません。それでも、『頭痛なんて大した事無いよ。寝れば治るさ。』と言われて、市販の頭痛薬で様子見ている人がどれほど多いことでしょう。

また、お子さんが頭痛を訴えても、なかなか治療に結びつかないことも多いです。頭痛の治療がきちんと行えるようになったのが、ここ数年であるため小児の頭痛治療は大変に遅れてしまっています。せっかく医療機関にかかっても、『子供には大人で言うところの(片)頭痛なんてない。』と言われ悲しい思いをした方も多いようです。また、『精神的なもの』とか、『起立性調節障害』といわれてしまって、頭痛が治らなくてつらい思いを続けているお子さんも少なくありません。頭痛は小学生になる前からおきることもあります。頭痛もちの大人に尋ねてみると、『子供のころから』と答えられる方が多いのはその証左といえます。

女性の場合、月経が始まり、結婚され、出産、授乳、子育て、更年期とそれぞれのライフステージに応じて頭痛が起きてきます。ほとんどの女性が頭痛もちといってよいと思っています。日常生活を阻害する頭痛をきちんと管理することで、とても快適に暮らしていくことが可能です。イオンさんや、メトロポリターナや女性誌のインタビューでも詳しくお話しました。

実はこのような頭痛はきちんとした治療が必要なのです。 連日の頭痛になってしまうと、もはや市販の頭痛薬は助けてくれません。 『頭痛薬が頭痛を引き起こします。頭痛薬による頭痛に頭痛薬を飲む』という悪循環を断ち切るためには、専門の治療が必要です。

頭痛診療に携わる神経内科専門医である私は、そういった現状に悩まれている方々のために、女性に手にとっていただくためにデザインが工夫されたかわいい表紙の『頭痛』(新水社刊)を出版しました。新版では、頭痛が連日となってしまうメカニズム、脱出の方法をご説明しています。音楽をつけたトリトリ体操も製作中です。

働く人々が悩む事が多い頭痛の診療のために秋葉原の駅前にクリニックを作りました。これまでも、ひどい頭痛で悩まれていた方々が、安心され職場に戻られています。ひどい頭痛の方が点鼻薬や皮下注射で改善された方もいらっしゃいます。

治療の流れ

まず、お話をお伺いします。ここが一番大切なところです。

必要に応じ、都内12カ所に展開している放射線科の先生の画像専門クリニックに紹介いたします。時間帯によってはその日のうちにMRIの結果をいただく事も可能です。そして、的確な診断に基づいて治療を行います。どんな頭痛がどんな症状を出すのか、外来を訪れる患者さんのうち何%が片頭痛なのか、連発したときの予防薬の有効性はどれぐらいなのかもふまえ、説明しながらお薬をお出しします。

群発頭痛も結構頻度の多い物です。 片頭痛の人が、群発頭痛を起こしてくることもあります。 群発頭痛は特別なアプローチが必要ですが、その人なりの治療方法が見つかれば、その後は早いうちに同じ手を打てば大丈夫です。

どの患者さんにも『頭痛日記』を必ずつけていただき、お薬の反応や、頭痛の頻度を記録に残しながらチェックしています。 ブログにもお書きしました、患者さんの実際の頭痛日記をお示しします。

頭痛日記

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Aさんの場合

Aさんは薬の組み合わせにより、数年来の頭痛の連発がわずか1週間で直りました。(画像をクリックして拡大)

Bさんの場合

Bさんは、特効薬による『ペインフリーの法則』により頭痛の頻度が激減しました。赤枠で囲った頭痛の無い日が少しずつ伸びてきている事が分かります。そして、うれしいことに連用していた解熱鎮痛薬から離脱できました。 今では、AさんもBさんも内服薬をほとんど飲まなくても、頭痛の頻度はとても少なくない体を維持しています。(画像をクリックして拡大)

目標への到達と維持

「頭痛を起こしにくい体」を取り戻したのです。そして、それを上手にメインテナンスし、維持している。特効薬を手にするだけでは十分ではありません。

頭痛が頻繁にやってくるのは、脳内の悪循環が断ち切れないからです。一度きちんと専門治療により悪循環が断ち切れれば、後は上手にメインテナンスしていくだけで大丈夫です。メインテナンスには『コツ』が必要ですが、そちらもわかりやすく『頭痛日記』を通して確認し合いながら治療を進めますので安心です。

予約は必要ありません。東京医科歯科大学を始め、近隣の大学病院とも連携を保ち、数多くの患者さんの治療に当たってきました。 頭痛は軽いうちに治療するのが近道です。早く良くなります。

頭痛も『風邪のようにこじらせる』と治療に苦労します。 『薬が効かない』、『数日連続している』などの頭痛を感じたら、我慢しないで早いうちの受診をお勧めいたします。

メタボリック症候群の治療

メタボリック症候群と言われても・・・

metabo高血圧、糖尿病、高脂血症などの病気は食事や運動といった生活環境の乱れからくる脂肪細胞の蓄積があることが広く知られるようになりました。脂肪細胞が放出し、病気を引き起こす因子が次々と明らかにされています。
また、検診などの数値上の異常だけの状態では、痛みやつらさが無いため、『まだ、許せる範囲かな・・・』『薬を飲んでいれば正常だから、いいかな』と思いがちです。

たとえ異常値を指摘されて、『食事を制限して、運動してくださいね。』と言われても、『忙しいのに、どうしたらいいのだろう』とちょっと後ろめたい気持ちで、お酒や外食を続けざるを得ない事もあります。

解決策の模索

どうしたらよいのでしょう。
まさに働き盛りの30代~50代頃の体調管理がその後の生命予後や合併症に大きく影響します。SANKEI EXPRESSのコラムでも時々連載して参りました。実行可能なプログラムであることが重要です。できれば、医療機関に関わらなくても一生実行可能なプログラムがあればいいと思っていました。

私は、クリニックを開設後、様々なデバイスを患者さんと一緒に試してきました。インターネットを用いる先進的なデバイスを試したこともありました。しかしながら、こういった物は、忙しい働く人には長続きするのが難しかった。本当に様々な物をためしましたが、どれも効果を持続させることが困難でした。そしてたどりついた、最も効果があったのは、最もシンプルな物でした。

治療の3つの柱(駅クリニック)

メタボリック症候群の治療には大きな3つの柱があると思いました。
1.治療は生活改善という一生かかるような長い期間、持続する必要がある
2.自分で体重などの生体情報を計測し、変化を自分でモニターすること
3.忙しくて、外食や接待が多い人であっても実行可能なこと
この3つです。

世界標準のロッシュ社のほぼオートマティックのデバイスを用いた、自己血糖測定(SMBG:selfmonitering of blood glucose)を導入しているのも、この『自分の生体情報をモニターする』という重要性を考えてのことです。ご自宅で血糖値を自由に測定できることで、患者さんの血糖値が非常に改善することが、論文できちんと証明されています。血糖値における『セルフモニタリング』(SMBG)の重要性はエビデンスが実証されています。インスリンを用いた方で無くとも自己血糖測定は治療効果の高い物です。最近では、量販型薬局でパッケージングされたアルコール綿なども販売されるようになりましたので、最初の使い方だけ覚えれば大丈夫になりました。糖尿病の重さによっては、お医者さんの所に行って採血する、月一回、あるいは数ヶ月に一回の情報だけでは、生活習慣への自覚を促し、その質を改善するためには情報が大きく不足していると考えています。

もちろん、自分の血圧を計測することも重要です。外来で高めの方は、ご自宅の血圧を参照させていただいています。
違いが大きいときには、持ってきていただいて外来で比較することもありました。でも、外来で高いときにはご自宅の血圧計で計測しても高く、ほとんど誤差はありませんでした。ご自宅の血圧計は正確なことが多いと思っています。

独特の手帳を使ったシステム

こういったデータを書き込む面からも、駅クリニックでは、優秀な管理栄養士さんの作られたシンプルな手帳システムを導入しました。当院で準備していますので、患者さんへの負担はありません。
この手帳は、生体情報を記録するという基本の上に、自分で選んだ4つの小さな目標のたった一つをクリアする(でも、毎日!)という、無理のない自己管理を用いることにより、内服薬の減量、離脱を目指しています。

お薬を内服し続けて、医療機関にかかり続けて、時間とお金を消費することは非効率的なことです。

目標の達成と薬からの離脱

面白いことに、体脂肪が減少し、悪玉アディポサイトカイン量が減ってくると、体重減少に比して(わずか500gでも!)血圧が正常化してきて喜んでもらえます。体脂肪量(主に腹膜に蓄積した悪玉脂肪組織)が低下傾向に転じたと言うこと自体に意味を見いだせてもらえる瞬間です。忙しい人達が、お金をかけず、根気よく、生活改善することで、お薬からも、医療機関からも『卒業』することを応援しています。

花粉症の治療

どうして目や鼻が痒くなるの?鼻水がでるの?

kafunsho花粉症には『ヒスタミン』という物質が重要な役割を果たしています。
体内に外界から異物が入り込むとそれを排除しようとする仕組みが私たちの体には備わっています。異物はすぐに排除しなくてはなりません。異物が入ってきてから、準備して反応するのはとても遅い。そこで私たちの体は巧妙な仕組みを考えました。あらかじめ必要な物質を用意しておいて、ちょっとでも引き金が引かれたら大きな反応がおきて、速やかに異物を排除する仕組みです。

それが、アレルギー反応です。ごく僅かな量の蜂の毒や、ソバ、エビ、カニなどによって体中にじんましんが出たり、血圧が下がるショック症状を起こしたりという激烈な反応が起きるのも、まさにそのためです。花粉症の反応も同じで、目には見えないごく僅かな花粉が引き金を引くと、目や鼻がかゆくなり鼻水があふれ、頭がぼーっとするといった大きな反応がおきてきます。もともとこういった反応は、異物である花粉を体外へ排除するための反応だったものが、過剰になってしまっている訳です。

大切なのはアレルギーの連鎖反応

拙書『副作用』の中にも、イラストを描いてご説明したのですが、大切なのはケミカルメディエーターです。ロイコトリエンなどのケミカルメディエーターはアレルギー反応を担う細胞と細胞の連絡をする物質です。ヒスタミンはケミカルメディエーターであるのと同時に組織に直接影響を与える物質です。
ある細胞が異常を察知すると、ケミカルメディエーターを放出し、受け取った細胞がさらにケミカルメディエーターを放出するという様に、あっという間に連鎖反応式となり、最終的に多くのヒスタミンが放出されます。ですから、花粉症の治療には、ケミカルメディエーターとヒスタミンのコントロールが重要となります。
主に、ヒスタミンによる影響は素早い反応で鼻水に、ケミカルメディエーターによる影響は時間をかけて鼻づまりに現れます。

花粉症と片頭痛の関係

アレルギー性片頭痛(allergic migraine)という病名があるぐらい、アレルギーと片頭痛は密接に関連しています。
花粉症、喘息、アトピーの方に片頭痛が多い事が報告されており、アレルギー性疾患の原因となるヒスタミンが片頭痛に悪影響を及ぼしていると考えられています。治療の上でも、抗ヒスタミン薬であるシプロヘプタジン(ペリアクチン(R))や抗ロイコトリエン薬のプランルカストが頭痛の予防薬に用いられるのはそのためです。(プランルカストはさらに、血小板からのセロトニン放出を抑制する作用があると、女子医大の清水先生は説明されておりました。)ですから、花粉症をきちんとコントロールする事は片頭痛に確実に良い影響を及ぼします。

『花粉症と頭痛を一緒に治療しましょう』と申し上げますと、つながりが分からずびっくりされる事も多いのですが、実は体の中で両者はつながっているのです。 花粉症で登場したヒスタミンと、片頭痛で重要なセロトニンはどちらも血管の壁に働きかけるオータコイドという物質の仲間でもあります。

花粉症の治療

私が花粉症の治療で大切だと思っているは
1.適切な抗ケミカルメディエーター薬と抗ヒスタミン薬をチョイスする
2.点眼、点鼻の外用をきちんと併用
3.目や鼻の症状だけでなく、内科的合併症につていも総合的に治療する
この3つです。

花粉症をきっかけとして、いろいろな元々もっていた病気が悪化する人は多いものです。
アレルギー反応の連鎖反応が起きる前に治療しておくと、体内のコントロールすべきものが小さいため、とても楽です。それが、早期治療の必要な理由です。どういった症状があるのか、よくお伺いし、総合的に治療していこうと思っています。
花粉症は、こういった多面的な側面を持っているのです。

2016/08/16